明日を支配するもの【経営のヒント 536】
法務会計プラザ開設20周年の記念講演に登壇された講師の皆さんの講演に対して多くの
反響を頂きました。
私も日々の実践に生かしていこうと思いました。
昨年に続き登壇頂いた田坂広志先生のご著書に『知的プロフェッショナルの戦略』が
あります。
冒頭部分に「『ナレッジ・ワーカーの時代』の錯覚」というテーマがあります。
ドラッカー教授のナレッジ・ワーカーを意識しての言葉であることは明らかです。
ドラッカー教授は知識労働の生産性の問題は21世紀の課題であることを明らかにしています。
<ドラッカーの一言>
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企業、さらにはあらゆる種類の組織にとって、自らの生存は、
知識労働者の生産性によって左右されるようになるからである。
まさに、最高の知識労働者を惹きつけ、とどめる能力こそ、
最も基礎的な生存の条件である。
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『明日を支配するもの』p.188
ドラッカー教授と田坂先生の問題意識は同じです。
ドラッカー教授は知識労働者と呼び続けましたが、21世紀の知識労働者に必要な能力を
田坂先生は「知的プロフェッショナル」と呼びました。
田坂先生は「知識資本主義の時代に『求められる人材』は、ナレッジ・ワーカーなのですが、
これから皆さんがめざすべきは、はたして、そうした人材なのでしょうか?」と問いかけます。
田坂先生は「求められる人材」を必要条件といい、十分条件として意識すべきは
「活躍する人材」であるといいます。そして活躍する人材を「知的プロフェッショナル」と
呼びました。
「ナレッジ・ワーカー」とは、「専門的な知識」を使って仕事をしている 人材です。
「知的プロフェッショナル」とは、「職業的な智恵」を使って仕事をしている人材です。
後者をディープ・ナレッジと呼び、直観力や洞察力、スキルやセンス、テクニックや
ノウハウのような暗黙知(言葉で表せない知識)がその正体だと述べました。
これらは体験により修得すべきものです。
田坂先生は、暗黙知を修得する方法にも触れています。
ご興味ある方は是非同書をお読みください。
田坂先生は、人間の深い部分に根ざす洞察を基礎に実践知を教えてくれます。
私たちは実践をとおして「専門的な知識」を使って「職業的な智恵」に昇華させて
いかなければならないのです。
講演会や本で得た情報を血肉にすることが求められています。
佐藤 等