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人は自己成長のために働く【経営のヒント 576】

昨年末から人のマネジメントにおける人がもつ5つの側面に焦点を当てたメルマガを
お伝えしています。
5つの側面を示した原理の復習からです。

人のマネジメント上考慮すべき側面は5つある―
1.生理的な側面、2.心理的な側面、3.社会的な側面、4.経済的な側面、5.政治的な側面である。
<マネジメントの原理45>

前回は、1.について説明しました。
原理を示すのを忘れていましたので以下に記します。

人には、それぞれ独自の働くリズムやスピード、持続時間があり、それらを自ら
コントロールしている。
<マネジメントの原理46>

今回は2.の心理的な側面についてです。
ドラッカー教授は、働くことは人格の延長であるといいます。
仕事をとおして自己実現に努めることを意味します。
苦楽は一対です。
仕事は、苦の元でもありますが、それゆえ楽しいと思える存在です。
毎日が休日だったとしたら、それは苦痛の種かもしれません。
世のため人のために果たす重責の中で、成果をあげ自己成長を実感していくことが
求められます。

人はお金だけを目的に働くものではありません。
人は、お金の奴隷ではないのです。
では「人はなぜ働くのでしょうか」。とても根源的な問いです。

ドラッカー教授の『非営利組織の経営』(1999)を読むと、ボランティアはなぜ働くのかを
考えさせられます。
無償もしくは有償でも少額の報酬で人は、なぜよく働くのでしょうか。
もし働くことが生きがいになれば、仕事をとおして自己実現する機会が増えてくるでしょう。
そのような働き方が出来なければ、時間を拘束されるだけの不自由な身の上です。
人の生きがいや働きがいは、モチベーションや動機づけの問題に通じています。

動機づけの基本は、内発的な動機づけです。
金銭報酬など外発的な動機づけ要因では、真の働きがいには結びつきません。
もちろん金銭をはじめとした報酬が少なければ、モチベーションが減退します。
しかし、標準的な水準以上にこれらを増やしても継続的なモチベーションのアップには
つながらないことが明らかになっています。

内発的な動機づけとは、組織の成果に対する貢献目標を自ら立て、これを実行して、
その結果を自己評価することです。
この過程で有能感を実感することが求められます。
その先に自己成長はあります。
「人はなぜ働くのでしょうか」、自己の成長はその答えの一つです。

今日得られたマネジメントの原理を列挙しておきます。

人は自己成長のために働く
<マネジメントの原理47>

自己成長のためには内発的な動機づけが必要である
<マネジメントの原理48>

内発的に動機づけるためには、自己決定と有能感を実感するための
自己評価が必要である
<マネジメント49>

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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