変化は非顧客の中で起きている【経営のヒント 705】
「第二の予防策は、企業の外で起こっていること、とりわけ非顧客(ノンカスタマー)について知ることである。」
『経営の真髄』<上>p159
「人間のつくるものに、永遠のものはない。とくに今日では長く生き続けるものはほとんどない」。前々回指摘した永遠の法則であり、常に事業の定義の陳腐化を予防することに意識を向けなければなりません。
この法則に抗して陳腐化を回避する方法は、2つしかないとドラッカーはいいます。
その一つが前回の「体系的廃棄」です。もう一つの方法が「非顧客について知る」ことです。
この方法は、「基本的な変化の最初の兆候は、組織の内部やその顧客に表れることはまずない。顧客でないところに表れるのが常である」というドラッカー教授の観察のうえに成り立っています。
したがって現場重視のマネジメントでは、限界があります。顧客に聞くというのも同じです。変化の兆候は、非顧客に起こっているとすれば、自社が取り残される危険が常につきまといます。
ほとんどの場合、自分の顧客よりも非顧客の方が多いという現実を踏まえると非顧客に無関心であれば、急激に変化が起きたように感じることでしょう。「変化は非顧客の中で起きている」と憶えておきましょう。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)