管理手段【経営のヒント 319】
今日で『マネジメント』<中巻>第39章「管理手段」を終えます。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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人間組織においては、管理手段による管理には
基本的かつ根源的な制約がある。この制約は、
組織というものが、それ自体実体であると同時に、
擬制にすぎないことに起因する。
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『マネジメント<中>』p.174 1973年 ダイヤモンド社
組織には二つの側面があります。組織は社会的な目的を持ち、そのために活動し成果をあげる存在です。「事業」のマネジメントという側面です。
一方で組織は人の集合体です。そこに参加する人それぞれが異なる価値観、目的、欲求、ニーズを持っています。その多様な人たちに対して組織が果たすべき社会的な目的を共有してもらい、生き生きと働いてもらう環境と仕組みをつくることが求められます。
「人」のマネジメントという側面です。
「事業」のマネジメントの道具としてこの章のテーマ「管理手段」があります。管理手段は最終的には、人の姿勢と行動に影響を及ぼし、変化を与えることを目的にしています。しかし姿勢と行動への影響力という面では、「根源的な制約がある」といいます。
上記の二つの側面がその根本的な原因です。
その制約を補うものとして、人事、賞罰、各種褒章策などのシステムがあるとドラッカー教授はいいます。なぜなら、それらが真の組織の価値観、目的、役割を教えるからだと。その意味で本章の管理手段は、人事などのシステムと比べるならば、「第二の地位に甘んじなければならない」と優先順位を示しました。
両面のバランスを確認したいものです。
佐藤 等