知識労働者が自ら考え、決定し、行動する【経営のヒント 711】
企業とその能力に直接影響を与える決定が、組織のあらゆる階層において行われている。
『経営の真髄』<上>p.174
ドラッカー教授は、現代社会を知識社会と名づけ、現代の組織を知識組織と呼びました。知識労働と知識労働者というコンセプトを生み出したのものドラッカー教授です。60年以上の前の1950年代末頃のことです。
その結果、「今日の企業は、昨日の企業と異なり、組織のほとんどあらゆる階層に高度の知識と技術を持つ者を多数抱えている」状況にあります。
現場で働く知識労働者と知識労働者である経営者との差は、扱う知識と技術の違いだけでそれぞれの領域では、それぞれの知識労働者が自ら考え、決定し、行動することが求められます。
そのためには、階層も役割も異なる同じ組織の知識労働者が個々に考えるための共通の軸が必要です。この軸が共有されている状態を「組織が方向づけられている」といいます。
方向づけのためには、「われわれのミッションは何か」「われわれの事業は何か」などの問いを用いることが有効です。ベクトルを合わせる(方向づける)ために、チームで定期的に問いに向き合う時間をもちましょう。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)