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組織と事業を方向づける【経営のヒント 712】

自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないかに思われる。(中略)しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんど答えることの難しい問題である。正解はわかりきったものではない。
『経営の真髄』<上>p.175

ドラッカー教授は、上記(中略)に箇所で「鉄道会社は乗客と貨物を運び、保険会社は保険を引き受け、銀行は金を貸す」と述べました。

自分たちの行っていることを記述したに過ぎません。実際には、顧客は何のために乗客となり、何のために貨物を運ぶのか。何のために保険に入り、何のためにお金を貸すのか。

その理由、つまり顧客の真の目的から考えることが「われわれの事業は何か」という問いに対する答えを導き出します。そのことを顧客価値といいます。それゆえ「われわれの事業は何か」に答えを得るには「われわれの顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」に答える必要があります。

さらに、その前に事業は組織の目的(ミッション)を実現する手段ですから「われわれのミッションは何か」を問うことになります。こうして組織と事業を方向づけ、ミッションを実現し、顧客価値を手にするための目標を初めて設定できることとなります。

ドラッカー教授は、これらの検討がないことを「失敗と挫折の最大の原因である」と述べました。「われわれの事業は何か」の徹底検討し、組織が継続性を高めたいものです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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