管理手段【経営のヒント 308】
今日から『マネジメント』<中巻>第39章「管理手段」に入ります。
この章も少し長くなりそうです。
<ドラッカーの一言>
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管理手段を用いた方向づけは、一人ひとりの人間の
動機づけにつながらなければならない。
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『マネジメント<中>』p.158 1973年 ダイヤモンド社
マネジメントに関わる様々な管理手段はあくまでも手段です。目的は、一人ひとりの人間を方向づけることにあります。それは人間の意思に関わる問題です。
それゆえドラッカー教授は、「管理手段によって得られた情報が行動につながるには、その情報が別の情報、つまり知覚に翻訳されなければならない」といいます。つまり<情報→知覚→動機づけ→行動→成果>という一連のプロセスが必要だというわけです。
人は経験したこともしくは経験から類推できること以外の情報をイメージできないものです。人は、イメージできたとき「わかった」と感じ、できなかったとき「わからない」と感じます。
優れた管理手段から得られる詳細な情報も、その情報が具体的な行動に結びつかなければ意味がありません。ある商品の売上が前月比マイナス2%減、昨年対比マイナス15%減という情報と20ヶ月連続前月対比売上高マイナスという情報のいずれが知覚に訴える力があるでしょうか。どちらが「何かをしなければ」と動機づけられる情報でしょうか。厳密な情報よりも伝わる情報が重要です(もちろん正確性が必要がないと いっている訳ではありません)。
情報自体に意味があるのではありません。それを受け取る人それぞれが意味ある情報にするのです。行動に結びつく情報とは何でしょうか。
そのあたりの感度を高めた情報収集、情報提供が必要であるという意識を組織で共有することが大切です。
佐藤 等