世のため人のために役立っているという実感が欲しい【経営のヒント 747】
「企業の仕事はやりがいが十分でなく、成果や責任が十分でない。ミッションも見えない。あるのは利益の追求だけである」
『経営の真髄』<上>p.262
ここに一つの警鐘があります。アメリカのNPOのボランティアが発した言葉です。
企業では、働き甲斐を得にくいといいます。成果や責任を求めても十分に担わせてもらえないといいます。仕事が金銭的な報酬以上のものであることがわかります。
ドラッカー教授は、これは一つの変化だといいます。人々は、世のため人のために役立っているという実感が欲しいのです。そのような場、コニュニティを居場所として活躍することを願っているのです。
このことは知識労働者の知識労働の生産性を高めることにつながるといいます。具体的には下記のとおりです。
「ミッションを明らかにし、人材を的確に配置し、継続して学習を施し、目標によるマネジメントを行い、要求水準を高くし、責任をそれに見合うものとし、自らの仕事ぶりと成果に責任を持たせることである」
日本では、非営利組織(NPO)の活動はアメリカほど活発ではありません。しかし、知識労働の生産性を高める秘訣については日米に差があるとは思えません。自分の組織は、どのくらい適合しているでしょうか。確認してみる価値はあると思います。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)