コストセンターとコスト構造【経営のヒント 17】
今日は、第5章「コストセンターとコスト構造」です。前回に引き続き分析に関する章です。ドラッカーは、コストに関して面白いことを言っています。「ほとんどの企業において、毎年、春の鼻かぜと同じように、コスト削減キャンペーンが行なわれている。(中略)しかし半年もすれば、コストは元どおりとなる。」思わず笑ってしまいます。
<ドラッカーの一言>
☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
コスト削減の最も効果的な方法は、活動そのものを
やめてしまうことである。
☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
新訳『創造する経営者』(ダイヤモンド社)より
コスト管理については、ドラッカー特有の言葉だと思いますがコストポイントの分析の重要性をあげています。コストポイントとは、コストの大半を発生させている<活動>のことです。<活動>を分析することが重要だと言っているわけです。たとえば<倉庫内の荷物の取扱い>のコストなど活動に関する分析です。ドラッカーは、コストポイントを4つに分類しています。
(1)生産的コスト・・・顧客が喜んで代価を支払ってくれる価値を提供するための活動コスト
(2)補助的コスト・・・経済価値は生み出さないが、経済活動の一環として不可避なコスト
(3)監視的コスト・・・悪いことが起こらないようにするための活動のコスト
(4)浪費的コスト・・・いかなる成果も生むことのない活動のためのコスト
それぞれに管理のポイントをあげていますが、ここでは浪費的コストに関していつも思い起こす出来事がありますのでご紹介します。数年前ですが24時間稼動の弁当工場にコンサルティングに入った時のことです。製造ラインで働くパートさんの生産性の向上策をいろいろ実施したのですが最も効果があったお話を一つ。そこは郊外工場であったためパートさんの通勤バスが用意されていました。弁当の数は、多い日、少ない日と色々あるのですが、バスはいつも定時運行。おかしい??と思い朝のうちにその日の工場を出る時間をアナウンスすることにしました。20分づつ毎日早めたのですが最終的に1時間40分早く帰りのバスを運行できたのです。弁当の数はあまり関係ありませんでした。何のために時給を払いつづけていたのか?この場合のコストポイントは、パートさんの意識の中にあったのです。終わる時間に合わせて仕事をしている社員、周りにいませんか?
佐藤 等