人口構造の変化に着目する【経営のヒント 39】
今日は、第7章「人口構造の変化に着目する」で5つ目のイノベーションの機会です。これまでに4つのイノベーションの機会について触れましたが、これらは産業や市場の外部にあるものです。5つ目以降は、産業や市場の外で起こる変化です。
世界の人口は、64億人を超えています。世界保健機関(WHO)は昨年11月に、世界の平均寿命が2002年に65.2歳となり、50年前の46.5歳から大幅に伸びたことなどを盛り込んだ03年版「世界保健報告」を発表しました。日本は81.9歳(女性85.3歳、男性78.4歳)で平均寿命世界一の座を維持、最下位はシエラレオネの34歳でした。昨日もNHKで平均寿命の問題を取り上げた番組が放映されていました。3つの象徴的事実として、(1)内戦によるシエラレオネの平均寿命の極端な低下、(2)アメリカにおける肥満(病気~新たな「栄養失調」)、(3)ロシアの経済・社会の変化に対する不適応ストレスを原因とする平均寿命の低下があげられていました。
<ドラッカーの一言>
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現場に行き、見て、聞く者にとって、人口構造の変化は
生産性と信頼性のきわめて高いイノベーションの機会となる。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
NHKの番組で報道された3つの事実は、撹乱要因ですが、かなりの確率で変化を予測できます。人口の変化をドラッカーは、「すでに起こった未来」という表現を使います。例えば、写真屋さんが今後20年間の成人式動向の予想をすることは、19歳~ゼロ歳の人口構成などの動向を把握することでかなりの程度予測可能です。「すでに起こった」、つまり<生まれた>事実がある以上、「未来」はかなりの程度見渡せます。これこそ大きな変化であり、そこにイノベーションの機会があります。例えば健康に関する雑誌は、アメリカ発ですが、おそらく壮年層の肥満率増加など何らかの人口的変化をキャッチしてイノベーションを起こしたものと思います。しかし実際には、これらの事実が事業機会として捉えられることは、<稀>であるとも述べています。あとで「何だと」気が付くよりも、立ち止まって今のビジネスが人口(構造)の変化とどのように関係しているか調べてみませんか?意外とこんなところからイノベーションが生まれるかも・・。<204003>
佐藤 等