日本の“いま”【経営のヒント 113】
『ドラッカーの遺言』第2章は「日本の“いま”」です。
日本が直面している“現実”のとらえ方に関する章です。
ここで経営者が身につけるべき一つの思考方法をドラッカー教授の教えから振り返ってみたいと思います。
(1)まず未来の予測は不可能だということ
(2)出来るのは変化をとらえること
(3)変化をとらえるには「現実」をよく認識すること
(4)変化を機会ととらえること
(5)機会をイノベーションの原点にすえること
要点を書けばこんな感じになると思います。(2)「変化をとらえる」という言葉を私たちはよく使いますが、変化をとらえるには、(3)がとても大切です。「現実」の認識力が欠けていると「変化」がわかりません。つまりスタート地点がわからなければ変化は無意味。というより中途半端な認識により危ない方向へと進むことすらあります。皇室女系問題などはその典型例だと思います。
そんな観点から2005年の「日本の“今”」をドラッカー教授はどのようにみていたのでしょうか。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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日本が直面しているのは危機ではなく、
時代の変わり目=移行期だからです。
日本がいますぐ取り組まなければならない課題
-それは、時代が変わったことを認め、
その変化に対応していくための意識改革です。
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『ドラッカーの遺言』2005年 講談社
私たちは、「失われた一〇年」という言葉に慣らされすぎていると感じます。
それを理由に「日本が危機的状況に瀕している」と言われるのは、「明らかな間違い」だとドラッカー教授は断言しています。
「危機」ではなく「変わり目」だと・・。
むしろ意識改革が必要だという認識がないことが「危機」です。
今どこにいて(自分の立ち位置を知り)、何が変わったかを把握して初めて次の1手を打つことができます。
「日本の“いま”」の「変化」の1番目は「保護主義の終焉」、2つ目は「情報のグローバル化による1国の金融政策の無力化」だとドラッカー教授は、言います。保護されていたものをどう考えるか?
例えば、農作物の自由化を高い・安いという経済合理性だけで考えていいのか。
BSE問題では、ずいぶんと「意識の変化」が進んだようにも見受けられますが、一つひとつの問題に新しい判断基準、行動基準が必要なときです。
そのためにも”いま”と”現実”をとらえる力を養いたいものです。
佐藤 等