マネジメントへの役割【経営のヒント 235】
『マネジメント―課題、責任、実践―』、第4章は「マネジメントへの役割」という章です。
ここからパート1に入ります。
<ドラッカーの一言>
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組織が存在するのは、組織それ自体のためではない。
社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、
個人のニーズを満たすためである。
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『マネジメント』p.38 1973年 ダイヤモンド社より
ドラッカー博士は、組織は道具であるといいます。
道具には目的があり、それを使うコツがあります。
組織の目的は社会や個人、コミュニティに貢献することです。
具体的には・・・
(1)自らの組織に特有の目的とミッションを果たすこと
(2)仕事を生産的なものとし、働く人たちに成果をあげさせること
(3)自らの組織が社会に与えるインパクトを処理すること及び社会に貢献すること
だとドラッカー博士はいいます。
第一に組織特有の目的を果たすこと。
具体的には、商品や製品、サービスの提供を提供することです。
しかも継続的に経済成果をあげることが前提となります。
成果なしには、組織の存続はありえません。
利益は存続の条件であるとドラッカー博士がいうのはこのためです。
第二に組織は一つの器です。
器の中身は経営資源で満たされていることが理想です。
人、もの、金とよくいわれるものです。
この中でも本質的な経営資源は、人です。
人がいなければ、お金、ものがあっても起動しないのが組織です。
一方で人は、全人格を組織に捧げているわけではありません。
家庭があり、地域のコミュニティがあり、趣味があり、学びがあります。
人の一部の力を借りて「仕事」をしてもらっているのです。
したがって「人と仕事のマネジメント」こそが、マネジメントの本質中の本質ということになります。
キーワードは、皆さんご存知の「成果」と「貢献」です。
第三は、少し説明が必要です。
現代社会は組織社会といわれています。
組織をとおして仕事をし、成果をあげる社会です。
それゆえ組織は社会の中で役割を果たし、個人は組織の中で働くという意味で中核的な役割を果たしています。
また例えば地域コミュニティにも何らかの影響を与えています。
このように組織は、影響力ある存在となっていますので、この影響力の調整機能を持っていないと生き残れないとドラッカー博士はいいます。
これらの目的を果たすために大きな役割を果たす道具がマネジメントです。
マネジメントは、企業はもちろん、非営利組織を含めたあらゆる組織に必要なことです。
なぜならどの企業も明確な目的を持ってその実現に邁進しているからです。
逆にいうと目的なしにマネジメントなしともいえます。
それゆえマネジメントという道具の効き目を劇的に改善するポイントは、目的の鮮明化にあるといえます。
顧客、従業員、社会に対してどんな役割を負っているかを再確認するところから始めたいものです。
佐藤 等