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第一の社会的責任の範囲は増すばかり【経営のヒント 770】

故意であろうとなかろうと、自らが社会に与える影響については責任がある。これが第一の原則である。

『経営の真髄』<上>p.355

 

前回、「社会的責任の問題は、企業、病院、大学にとって、2つの領域において生ずる」ということを示しました。

第一の領域は、自らの活動が社会に対して与える影響から生じます。

第二の領域は、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じます。

 

第一の原則は第一の領域から生じています。

 

「『誰も問題にしていない』と言うことでは言いわけにならない」とドラッカー教授はいいます。

 

かつて事業プロセスの中で新彊ウイグル自治区の少数民族が「綿摘み」などの強制労働に従事させられていないかなどと批判にさらされた日本企業がありました。

 

今や中国の人権問題が日本企業の海外ビジネスに与える影響は避けてとおれないものになっています。海外を含む組織の環境を「社会」といいます。「故意であろうとなかろうと」がポイントです。

 

どんな環境で作られ、提供された財やサービスなのか。意図せず強制労働という人権侵害に加担していないか。意図せずサービス残業など法令違反を犯している企業と取引をしていないか。

 

第一の社会的責任の範囲は増すばかりです。意識を新たにして責任に向き合うときが到来しています。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

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