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健全な企業は機能する社会にのみ存続可能【経営のヒント 772】

慢性病あるいは退化病となった問題に関わるマネジメントの社会的責任は何か。それらの問題は、組織のマネジメントにとって重大事である。
『経営の真髄』<上>p.362

なぜか。
ドラッカー教授は、次のような理路で説明します。
・企業の健康はマネジメントの責任である
・企業の健康は社会の病気とは両立しない
・企業が健康であるためには、健全な、少なくとも「機能する社会」が必要である
・社会の健全さこそ、企業が成功し成長するための前提である

「機能する社会」は、『産業人の未来』(1942)以来、指摘してきた重要コンセプトです。社会は、企業が生存していく環境です。健全な、少なくとも機能する社会であることをドラッカー教授は求めました。

「慢性病あるいは退化病」とは、前回指摘した「第二の領域は、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じます」に関わるものです。

「自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じる問題」は、さらに2種類に分けられます。

①事業上の機会に転換できる問題(前回記述)
事業上の機会に転換できない問題

そして②が「慢性病あるいは退化病」の対象となります。何が問題かというと社会という企業の環境が劣化するからです。ドラッカー教授は、健全な企業は機能する社会にのみ存続可能であると考えます。

社会という環境整備のため、われわれは社会的責任をどのように考えなければならないか。限界はあるか。その限界はどこにあるか。次回のテーマとしたいと思います。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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