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例外的存在とその教訓【経営のヒント 257】

今日は、『マネジメント』第13章「例外的存在とその教訓」からお伝えします。
11章から14章のテーマは「公的サービス機関の成果」です。この章のタイトルは、ドラッカー教授らしいものです。前章では、「不振の原因」を記述しました。この章では、反面教師の存在を浮き彫りにしています。違う視点で物事をみることの重要性を際立たせています。

この章でドラッカー教授は、AT&Tなどの組織の例を挙げていますが、特筆すべきは日本の例を挙げていることです。対象は、昔の日本政府です。
お気に入りの事例、明治維新の奇跡を挙げています。今日の一言は、その奇跡の秘密に関するものです。

<ドラッカーの一言>
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成功の秘密は目的を考え、優先事項を定め、
集中したことであった。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント』p.196 1973年 ダイヤモンド社より

中学校の復習のようになりますが、振り返ってみます。
1869年:明治政府樹立(明治維新)
1895年:日清戦争に勝利
1905年:日露戦争に勝利
この間のことをドラッカー教授は「明治維新のわずか30年後には、階級制度に縛られた極東の貧しい農業国が近代国家となり、ロシア帝国を破る軍事強国となり、一大貿易国となった。同時に、世界の歴史上初の識字率100%の国になっていた」と端的に表現しました。

そして「あらゆる仕事が、ごく普通の有能な働き手によって行われた」とし、その秘密を今日の一言のように表現しました。目的は、西洋の帝国主義列強が支配する世界で日本の独立と文化と伝統を守ること。
例の「富国強兵」が叫ばれたのです。

優先事項は、軍事力増強、経済発展、識字率向上、地方自治、裁判制度の5分野だと記述しています。施策の是非に論もあろうかと、断りをいいながらも、少ない資源を優先順位にしたがって集中投入することで、世界に通じる国になったのだと最上級の評価をしています。

成果が出たものであれば、それが国家レベルの成功例であってもマネジメントの教本に記述する。(1)目的を決め、(2)優先順位を定め、(3)資源を集中投入する。成功哲学の原理原則です。これがドラッカー教授の視座です。何段か高いステージから見ているので、視野が違います。
このようなスタンス、なかなか真似できないものですが、見習いたいものです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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