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人生をより良くするコビー博士の『七つの習慣』【経営のヒント 633】

新しいテーマ<マネジメントと人間力>の8回目です。前回は、本がしっかりしていないと末も生きないということを確認しました。つまり知識や技術という末学だけでは、何事もなすことができない。そのためには本学と呼ばれる人間学の修養が不可欠であるということです。そして人間学には、習慣という側面と道徳という側面があるということです。人間を相手にしているため「側面」という言葉を使いました。

さて今日は、成果をあげる能力以外の習慣にも目を向けてみます。つまり社会において人生をよりよく生きていくには、業務知識やそのスキルだけでなく、どんな人生知識をトレーニングによって身につけるかが重要です。

トレーニングによって無意識にできるようになれば習慣化できたといえましょう。しかし、習慣化には相当の段階があり、ゴールは遥か先と考えた方がよいでしょう。たとえば時間管理のレベルは追求すればするほどゴールにはたどり着かないことを実感させられます。

さてドラッカー教授は、成果をあげる能力として習慣化すべき能力を挙げました。何を習慣化すべきかを述べた著作は意外と少数です。有名なものでは、コビー博士の『七つの習慣』があります。

これらは果たして習慣化すべき「人生知識」と言えるのでしょうか。

1 主体的であること
2 終わりを思い描くことから始める
3 最優先事項を優先する
4 相互依存のパラダイム
5 まず理解に徹し、そして理解される
6 シナジーを創り出す
7 刃を研ぐ

これらは「業務知識」や「仕事知識」でないことはわかります。これらも「人生知識」の領域に入るべき習慣と整理することができると思います。
コビー博士は人格主義を掲げ、インサイドアウトという原則を挙げています。コビー博士は、アメリカ建国以来発行された約200年間の「成功」に関する文献を調査し一つの結論に達します。建国から150年の文献で大切にされてきたことは、誠意、謙虚、勇気、正義、忍耐、節制、倫理的な黄金律などでした。ところが今につながる50年間は、コミュニケーションスキルやポジティブシンキングなどのテクニック論に傾斜していると見抜いたのです。前者を人格主義、後者を個性主義と定義し、本当に大切なものは人格であるとし、これをインサイドと位置づけ、内側から変わり、外側に影響を及ぼす人になることを目標として7つの習慣をつくりあげました。

人生をよりよく生きていくためには、必要な人生知識とそれを習慣化するトレーニングが重要です。どんな人生知識が必要なのかを次回も考えてみたいと思います。

佐藤 等(ドラッカー学会理事)

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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