企業と政治の関係【経営のヒント 276】
今日は第27章「企業と政治の関係」からです。まずは今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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政府の肥大化という消極的な態度だけでは成果は
不足である。せいぜい事態の悪化を防げるだけである。
今日求められているのは積極的かつ前向きの行動である。
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『マネジメント』p.425 1973年 ダイヤモンド社より
今の日本を見通されているような30数年前のドラッカー教授の言葉です。
この数十年のうちに政府の力が相対的に衰える中で企業の力が増しています。最大の原因は、経済のグローバル化です。リーマンショックを例に挙げるまでもなく、経済は国境を簡単に越えて1日以内に情報が世界中に行渡ります。
かつて政府と企業の関係は、重商主義や立憲主義といったモデルを基準として動いていた時期がありました。国家主導で経済をコントロールできた時代です。今はその立場が逆転しています。それゆえ統一的なモデルは存在しません。
ドラッカー教授が現実的に対応を求めているのは、ガイドラインという方法です。最低限の基準を定めるという方法です。
主な基準は次のとおりです。
(1)企業とマネジメントを自立した責任ある存在とするものであること
(2)変化を可能とする自由で柔軟な社会を守るものであること
(3)グローバル経済と国家主権とを両立させるものであること
ドラッカー教授の脳裏には、あの忌まわしいヒトラー全体主義の残像があります。自由で柔軟なこと、多様性を受け入れること、そんな基本的なことが守られることが前提だというのです。そのためにマネジメントの果たす役割は、大きいといいます。本書まえがきでは「成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手だてである」と述べています。心してマネジメントにあたり、成果をあげる責任を全うしなければなりません。
佐藤 等