本質的にはプロフェッショナルである【経営のヒント 774】
リーダー的な地位にあるグループの一員としてのマネジメントの責任と倫理とは、具体的には何か。そのようなグループの一員たることは、本質的にはプロフェッショナルであるということである。
『経営の真髄』<上>p.371-372
社会のリーダーをどのようにみるのかについてドラッカー次のように整理します。
「マネジメントを構成する個々人の人間を社会のリーダーと呼ぶことはできない」。
彼らを集合的に見たとき、つまり「グループの一員として見たとき」、今日の組織社会においてリーダー的な地位にあるに過ぎないといいます。
そのうえで「リーダー的な地位にあるグループの一員としてのマネジメントの責任と倫理」を明らかにし、その本質をプロフェッショナル性にあるといいます。
2400年前のギリシャの名医ヒポクラテスの誓いの中にプロフェッショナルにとっての最大の責任が表現されていると指摘します。
「知りながら害をなすな」
医者や弁護士というプロフェッショナルと同様の責任をマネジメントは負うといいます。
すなわち、顧客に対して必ずよい結果をもたらすとの保証を与えられないが、最善を尽くことは誓わなければならなりません。
加えてヒポクラテスの誓です。最も情報を知りうるものは、相手が知らないからと言ってプロの見識に反することはしてはいけないのです。このような自覚とともに相手に信じてもらわない限り仕事を行うことはできません。
自らの知識と経験にしたがって判断を自立的に行うことです。私的な判断ではあるが、私的な利害に基づくものではなく、公益を前提に動くという高度な倫理性が求められているのです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)