仕事と働くことと働く人たち【経営のヒント 261】
今日は16章「仕事と働くことと働く人たち」からお伝えします。
15章から23章までのテーマは、「仕事を生産的なものにし、人に成果をあげさせる」です。これは、マネジメントの第二の役割です。
ドラッカー教授の今日の一言をみてオヤッと一瞬思われるかと思います。
<ドラッカーの一言>
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仕事と働くことすなわち労働とは根本的に異なる
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『マネジメント』p.231 1973年 ダイヤモンド社より(1字改変)
いかがですか。仕事と働くことは異なる。オヤッ?原文は、workとworkingですから、なおさらだとおもいます。さて両者の間にあるものは何でしょうか。
ナゾナゾみたいになってしまいました。答えは、「人」つまりworkerです。
当たり前ですが、「仕事」は“人”が「働くこと」によって行われます。しかしドラッカー教授は、こういいます。「仕事を生産的なものにするうえで必要なものと、人をして成果をあげさせるうえで必要なものはまったく異なる」と。
必要なものの答えはこうです。「人は、仕事の論理と労働の力学の双方に沿ってマネジメントしなければならない」。「仕事の論理」とは何でしょうか。
仕事とは、純粋に客観的なものであり、分析、統合、管理の対象となるものです。ここから仕事とは人に依存させてはいけないことを学びとることができます。現場では、ありがちなことで反省材料にしなければなりません。
これに対して「働くことは力学」だといいます。力学とは物理学の言葉ですが、転じて運動や相互作用を示す言葉として一般にも使われています。
人が介在するためいくつかの側面に作用を及ぼします。いくつも側面のバランスを取りながら「働くこと」で成果をあげることができるということです。
ドラッカー教授があげた6つの側面とは、生理的側面、心理的側面、社会的側面、経済的側面、政治的権力に関わる側面、成果配分の側面です。
以降の章では、workとworkingについてそれぞれが中心テーマになります。
マネジメントの常識として身につけたい知識です。
佐藤 等