管理手段【経営のヒント 312】
今日も『マネジメント』<中巻>第39章「管理手段」からです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
マネジメント上、管理手段が有効であるには
七つの条件がある。(中略)
第一に、管理手段は効率的でなければならない。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント<中>』p.164 1973年 ダイヤモンド社
仕事は、必要とする労力が少ないほど優れています。これを効率的であるといいます。例えば、少ないデータで管理できるということは、優れたデータであると評価することができます。データは、ある現実の一面を映し出す道具です。すべての現実を表示するデータは存在しません。どこかにフォーカスしているはずです。
したがって、ある現実を投影するためには、どんなデータが必要かを事前によく考えることです。これをデータの設計といいます。その際には、「事態を把握するために必要な最小限のデータや情報は何か」という問いが重要になります。
ちなみに、データは売上日報の様な個別の素材。情報は何らかの意図を持って集計されたもの。例えば、売上の前年対比などがこれに当たります。
さらに人によって必要なデータや情報は異なるはずです。ドラッカー教授は経理部長が必要な情報は、在庫の総額と増減傾向であり、販売部長が必要な情報は全体の7割を占める5、6種類の製品在庫だと指摘しました。
そしてどちらも年に一度か二度、全体の詳しい情報を知ればいいと付け加えています。
私たちは、コンピュータの進歩で多くのデータや情報を入手できるようになりました。しかし目的を見失っては、情報の洪水の中でもがき苦しむだけです。「将来を予期するために必要な最小限度のデータや情報は何か」、「全体の状況を把握できる最小限のデータや情報は何か」を今一度確認してみたいものです。
佐藤 等