コミュニケーション【経営のヒント 305】
『マネジメント』<中巻>第38章「コミュニケーション」から、今日は原理その3をお伝えします。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
われわれは期待しているものだけを知覚する。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント<中>』p.145 1973年 ダイヤモンド社
これまで確認したコミュニケーションの原理は、「コミュニケーションと情報は別物である」と「コミュニケーションとは知覚である」でした。
今日はその3つ目。「コミュニケーションとは期待である」です。
この原理は、ある意味深刻なものです。コミュニケーションの発し手と受け手との間にパイプラインが敷かれていて(第1の原理)、その中を相手に到達する知覚可能な言葉が流れていても、それだけでは十分ではないという原理です。
情報の受け手が言葉として知覚していても、聞きたくないものは、聞かないという原理です。受け手は、選別して聞いているということです。期待に反したものは、反発、無視、誤解など思わぬ方向に影響を与えます。
この原理を知った今、私たちはどのように対応すればいいでしょうか。
答えは簡単です。相手の期待しているものを知るということです。
ドラッカー教授は、相手の期待を知って初めて、その期待を利用できると指摘しました。知るためには、「聞く」ことが大切です。それが原理を活用するということです。ここで注意が必要なのは、期待を聞いたとしても必ずしもそれに応えるということでは、ありません。ときには相手の期待を破壊するためにも知っておく必要があるとドラッカー教授はいいます。
いずれにしてもコミュニケーションの大原則は、相変わらず話すより聞くことにあります。そのとき何を聞くのか。最重要項目が「受け手の期待」だということです。もう少し具体的にいえば、受け手の価値、現実、欲求を知ることです。「もしドラ」の夕紀が行なった「お見舞い面談」で心がけた項目がこの3項目です。面談がチームを変えるきっかけとなりました。
フィクションですが、ツボを抑えた行動です。一度、コミュニケーションのあり方を、振り返ってみることも大切です。
佐藤 等