マネジメント・サイエンス【経営のヒント 323】
今日も『マネジメント』<中巻>第40章
「マネジメント・サイエンス」から。この章の最終回です。
<ドラッカーの一言>
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洞察、理解、順位づけ、あるいは単に問題が複雑だと
感じる感覚こそ、正確で見事な数学的モデルに劣らず
重要だ
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『マネジメント<中>』p.193 1973年 ダイヤモンド社
この章では、マネジメント・サイエンス、定量データを用いて
マネジメントをサポートする業務のあり方について理解を深めて
きました。いずれにしてもスタッフ的な業務です。マネジメントは、
マネジメント・サイエンスの専門性ゆえ、つまり理解できない
ことを理由に十分に使いこなしていないという現実があることを
ドラッカー教授は、指摘しました。
しかし「ツールの使用者は、ツールの仕組みなどを知る必要も
ないし、かえって知ってはならない」と明確に述べました。
その代わり明確に要求すべきものを4つ示しています。
①これまでの前提(常識)を基礎とするのではなく、その前提に
変化がないかを検証すること
②答えではなく、何が問題か提起すること
③一つの答えではなく、複数の代替案を出すこと
④問題に対する公式ではなく、理解に焦点をあわせること
これらをマネジメントはサポートするスタッフに要求することが
重要です。選択肢から一つに決めるのはマネジメントの仕事
です。これら4つの点は、スタッフの存在を前提としていますが、
もしそのようなスタッフがいない場合には、マネジメントが
手分けして行なわなければならないことになります。
そうでなければ誤った前提を元に問題を誤って定義し、
そこから唯一つの答えを求めることにつながります。
成果が出ない一つの大きな理由です。前提、問題、選択肢は、
すべて洞察、理解、順位づけによりもたらされます。
マネジメント・サイエンスだけでなく、経営幹部がこれらの
重要性を認識することがスタートです。非定量、質的要素に、
ことの本質があるのです。ドラッカー教授は、「それらは、
問題のあるがままの姿を正しく示すものだから」だと、その
理由を示しました。非定量的なものを受け入れる組織作りを
目指したいものです。
佐藤 等