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利益は事業活動の有効性と健全性を測定する【経営のヒント 472】

前回のテーマは「資源の集中」でした。
集中とは活動の集中であることを明らかにしました。
そして活動にはヒト、モノ、カネといった経営資源が張り付いています。
非生産的な活動にも資源が投下されています。

ドラッカー教授は、社会現象はパレートの法則に従うとしました。
これを適用すれば、たとえば2割の優れた活動が8割の利益を生んでいると
表現されることになります。
逆に考えれば8割の平凡な活動は2割の利益にしか結びついていないと表現できます。
これほど極端ではないでしょうが、このような傾向があるということです。

では非生産的な活動から生産的な活動をどのように見極めればいいのでしょう。
ドラッカー教授は次のように利益がその役割を果たすことを明らかにしました。

<ドラッカーの一言>

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利益は事業活動の有効性と健全性を測定する。

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『実践するドラッカー 〔利益とは何か〕』p.125
原典―『現代の経営』p.104

ドラッカー教授にとっての利益は単なる会計上の利益とは異なります。
会計では利益は単なる計算結果です。赤字、黒字というように尺度の目盛を意味します。
ところが教授は利益に役割を与えました。つまり利益自体を道具としたのです。

ここでは第一の役割が重要です。利益が何かを測定するというのです。
つまり利益は目盛ではなくメジャーという道具そのものだというのです。
これはマネジメント上の利益とでもいうべきものです。

測定対象は、「事業活動の有効性と健全性」です。
これが活動の生産性を判断する基準となります。
「有効性」とはその事業や製品、サービスなどが
顧客の支持を受けているかどうかということです。
ドラッカー教授は「市場におけるリーダーシップ」という言葉で表現します。
まず「趨勢」をみます。趨勢とは過去から現在までの状況です。
次に「将来見通し」を判断します。

しかし、これだけの判断で資源の移動はできません。
資源の状況は「健全性」という判断基準で行います。
健全性とは資源があるべき姿で投下されているかを判断します。

有効性の低いもしくは高くない事業活動に
ヒトやカネといった資源を不必要に多く投入していないかどうかを判定します。
逆もあります。有効性の高い事業活動に必要なもしくは十分な資源を
投入しているかどうかを判定します。
こうして集中すべき事業や活動を判断していくことになります。

具体例は『実践するドラッカー〔利益編〕』254ページ~の巻末表をみて下さい。

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<実践のための問い>

減らすべき(やめるべき)活動は何ですか。増やすべき活動は何ですか?

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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