事業が成立する3つの要素【経営のヒント 547】
「原理とは、それに沿えば必ずうまくいくというものではないが、それから踏み外した
ときには確実に失敗する」と早稲田大学MBAの西條剛央先生はいいます。
「失敗しないための原理のマネジメント」とは成功を求めて原理に反した方法をとるという
愚を犯さないためのマネジメントです。
前々回は「事業の目的」について、前回は事業の定義について述べました。
事業にはもう一つ重要な原理があります。
それは事業成立の3つの要素です。
①事業は組織の使命にそっていること
②事業は組織を取り巻く環境に適合していること
③事業は組織の強みを生かせること
以下、簡単に説明します。
①についてですが<マネジメントの原理6:組織の目的(ミッション)を実現する
手段として事業がある>ことから考えれば当然です。
目的と手段のミスマッチは失敗するということです。
②については外部環境の変化によって生じる「機会」を生かすことができるかどうかが重要です。
事業は変化しながら今に至っています。
たとえばブリジストンは仕立物業で創業し、足袋専業に事業を転換しました。
その後、地下足袋業を手掛け、滑らない足袋の開発からゴムに事業を転換しました。
こうして滑らないパターンの開発は現在のタイヤ事業に生かされていくのです。
創業1906年の同社がいかに変化に対応し、機会をものにしてきたかがわかります。
事業で失敗しないために機会を生かし、現状にとどまらないことが重要です。
③については事業は強みの上に築かなければなりません。
たとえば高齢社会という機会があるからといってまったく強みのない介護事業に進出するなどの
ケースは失敗する可能性がかなりあります。
機会とは儲ける可能性のことではありません。
自社の強みを生かせる事業でなければ選択すべき機会とはいえません。
これらの3つの要素はどれを欠いても事業が上手くいきません。
新しい事業はもちろん、既存の事業においてもいえることです。
たとえば自社の強みが相対的に弱くなっていると感じたら事業からの撤退時期かもしれません。
これら3つの要素は事業が失敗しないために常に確認しなければならない原理だといえます。
<マネジメントの原理9>
事業が成立する3つの要素。
①事業は組織を取り巻く環境に適合していること
②事業は組織の使命にそっていること
③事業は組織の強みを生かせること
佐藤 等