マネジャーは目標設定の場に参画することで責任と権限を手にする【経営のヒント 597】
しばらく目標に関する原理のまとめが続いています。
今回は、組織や部門で目標を設定する際の原則について書いてみたいと思います。
下記の<マネジャーの仕事>の1.「目標を設定する」に関わる仕事であり、「目標設定」
の局面についてです。
<マネジャーの仕事 再掲>
1.目標を設定する
2.組織する
3.動機づけとコミュニケーションを図る
4.評価測定する
5.人材を開発する
<目標に関する主な局面 再掲>
1.目標設定
2.目標進捗に関する測定
3.目標の評価
4.フィードバック
マネジャーは目標設定の場に参画することで責任と権限を手にする
<マネジメントの原理108>
キーワードは「参画」です。
参画とは、目標設定という意思決定の場面に実行責任者であるマネジャーは参加する
ことが絶対条件であるということです。
ドラッカー教授は、「自由」に関して次のように述べています。
「自由とは解放ではない責任である。
楽しいどころか一人ひとりの人間にとって重い負担である。
それは、自らの行為、および社会の行為について自ら意思決定を行うことである。
そしてそれらの意思決定に責任を負うことのできることである」『産業人の未来』
参画とは自ら意思決定を行うという原則を組織に適用した場合のコンセプトです。
誰かに与えられた「目標」に責任は発生しないということです。
少なくとも設定責任はないということになります。
つまりコミットメントできないことを意味します。
責任とは人が組織で仕事を行う際に、不可欠のものです
。
それは最終的には、顧客への責任に通じています。
組織は社会において果たすべき目的(役割)をもっています<マネジメントの原理2>
この役割を果たすために責任は不可欠のものです。
一人ひとりの責任の連鎖が顧客につながっているということです。
具体的な参画のイメージですが、たとえ全社目標の設定には、各担当事業部門を統括する
取締役などが参加して意思決定することです。
さらに、それぞれの担当事業部門を統括する取締役は、その事業部門に属する複数部門の
部長を集めて事業部門の目標を設定します。
その後各部長は、その部に属する各課の課長を集めて部の目標を設定します。
以下、課の目標、チームの目標と一階層下のメンバーを集めて目標設定のための意思決定を
行ないます。
くれぐれも「与えられた目標」にならないよう注意が必要です。
全社や部門などの目標であっても内発的なものでなければ人は動機づけされない
ということです<マネジメント原理93>。
次回は、目標に関わる測定対象、測定尺度についてです。