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報酬が間違ったメッセージを発しないように【経営のヒント 803】

間違った方向づけをもたらす最も大きな要因が、第4の報酬である。
『経営の真髄』<下>p.42

ドラッカーは、「組織には、人を間違った方向へ持っていく大きな要因が4つある」といいます。

  1. 専門化
  2. 上司
  3. 階層
  4. 報酬

今回は 4. 報酬についてです。ドラッカーは、報酬を「最も屈折した要因である」といいます。

しかも「誰でも報酬は必要である。だが、いかなる報酬システムといえども、人を間違って方向づけることは避けがたい」ともいいます。なぜか。

それは報酬が「人の価値に対する評価をともなう」からです。カネは定量的であり、これに対する「報酬システムにおける金銭は、価値や質という無形の微妙なものを表す」からです。

すべての報酬システムは、良し悪しは別として人を位置づけます。それゆえ他者との比較の可能性が増大します。同格とみなす者との比較が生じ感情を揺さぶります。

人間を相手にしているゆえに、完璧な報酬システムはありません。報酬は個の納得と組織の安定を調和させるものでなければなりません。それゆえ報酬が間違ったメッセージを発しないよう注意したいものです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

 

 

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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