組織社会の到来【経営のヒント 217】
今回も『ポスト資本主義社会』、第4章「組織社会の到来」からお伝えします。
<ドラッカーの一言>
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生産性向上のための最善の方法は、人に教えることである。
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『ポスト資本主義社会』 1993年 ダイヤモンド社より
知識社会では、知識労働者とサービス労働者の生産性向上が国家レベルの問題として必要不可欠です。いまや先進国の80%程度がこれらの労働者だからです。
ドラッカー博士は、生産性向上の方法を各所で挙げています。
この章でも次のようなものを挙げています。
(1)得るべき成果を明確にすること
(2)自律的なチームとして機能していること
(3)雑事を廃し、集中すること
そして今日の一言、(4)「人に教えること」です。
しかも最善の方法といっていますから見逃せません。
皆さんのチームでは、教えるための仕組みができていますか。
考えたことはありますか。
教えるということはどういうことでしょうか。
それは「記憶している」ことと「説明できる」ことの違いです。
記憶はインプットする行為です。これに対する説明はアウトプットする行為です。
一見説明という行為は、相手のためだけに行っているように感じられますが、実は大いに自分のためになっているのです。
教えるためには多くをインプットしなければなりません。
それを効果的にアウトプットすることが求められます。
この行為の繰り返しが知識労働者の生産性の向上に大きな効果をもたらします。
ドラッカー博士は、知識その絶えざる変化ゆえに、知識労働者と組織に対して学ぶことを求めるといいます。いわゆる「学習する組織」です。
しかしここで述べたように学ぶことはインプットすることだけではありません。
アウトプットしてナンボの世界です。アウトプットの中でもずば抜けて効果的な方法は「教える」ことです。組織内に教える環境を定着させることは、今日の知識社会の長期的な目標です。
少しづつそんな体制を築いてみませんか。
なにせ生産性向上の最善の策なのですから。
佐藤 等