人生を変えた七つの経験【経営のヒント 201】
前回に引き続きドラッカー博士の「人生を変えた七つの経験」からお伝えいたします。
七つの経験ともに一押しの人生指針です。
<ドラッカーの一言>
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私は、神々しか見ていなくとも、完全を求めていかなければ
ならないということを、そのとき以来、肝に銘じている。
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『プロフェッショナルの条件』2000年 ダイヤモンド社より
「人生を変えた七つの経験」は、ドラッカー18歳から40歳までの経験を記したものです。
第二の経験に関するものが今日の一言です。
前回200号でお伝えしたヴェルディから教えを得たのち、ほとんど同じ時期に18歳のドラッカー少年は、新たな出会いをすることになります。
一つの物語との出会いです。
それはこんな話しでした。
時は紀元前440年頃、ギリシャの彫刻家にフェイディアスという人物がいました。
その当時、フェイディアスは有名なパルテノン神殿の彫刻を任されたチームの長でした。
無事彫刻が終わり、完成後、フェイディアスは、アテネの会計官に請求書を出しました。
ところがこともあろうに、アテネの会計官は、その支払いを拒みました。
それは、こんな理由からです。
「彫刻の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って、請求してくるとは何ごとか」。
それに対して、フェイディアスは次のように答えました。
「そんなことはない。神々が見ている」と。
今日の一言の「そのとき以来」は、この話に触れたドラッカー少年の決心を示したものです。
ドラッカー博士は、生涯40冊に迫る著書を世に送り出しました。
よく聞かれる問いに「あなたの本のなかで最高のものはどれですか」があったそうです。
ドラッカー博士の答えは「次の作品です」でした。
まさに完全を求め95歳まで書き続けました。
そんな見事な人生も一冊の本との出会いからでした。
誰かが見ていることを意識していては、大したことは出来ません。
一番厳しい自分が見ているからこそ完全性を追求できたのです。
それを「神々が見ている」という仕事観として身につけたドラッカー少年は、後にこういい残しました。
「成果をあげ続ける人は、フェイディアスと同じ仕事観をもっている。
つまり神々が見ているという考え方である。彼らは流すような仕事はしたがらない。
仕事において真摯さを重視する。
ということは、誇りを持ち、完全性を求めるということである」と。
佐藤 等