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組織社会に生きる【経営のヒント 193】

『断絶の時代』第11章は第3部の最終章、「組織社会に生きる」というテーマです。

今日の一言からです。

<ドラッカーの一言>
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若者は、操られることに抵抗する。しかし実は彼らが
最も恐れるものが、意思決定の重荷である。そこで
彼らは意思決定、選択、責任を逃れるためにあえて
落伍する。
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エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より

40年近く前に書かれたこの文章、現代社会の問題の一つ「ニート」のことを表していると思いませんか。
ニートは1999年英国生まれの言葉だそうですが、現在は主として若年層の職につかない存在をいい、日本特有の問題としてとらえられています。
日本では、現在60万人を超え大きな社会問題となっています。

このニート問題の根本原因が今日の一言に端的に示されていると思います。
意思決定から逃れた結果として自ら落伍していきます。
組織社会において意思決定から逃れることはできないということを私たち大人が理解して、伝えなければなりません。

ドラッカー博士の処方箋はこうです。
「無数の選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたらよいかではなく、自分を使って何をしたいかである」、また「何を投じて何を得たいか」であるといいます。
これが組織に入る前の問いです。「自分の何を使って」と「何を投じて」は、同根です。

使えるものは、自分の強みやワークスタイルです。これらをよく考え、進路の選択を行うことです。
しかし若者には、難しいことなのかもしれません。
ですが、このことから目を背けると、問題の解決からは遠のいていきます。
困難が自分を磨くと覚悟することが大切だと教えてあげなければなりません。

一方でドラッカー博士は他の著書の各所で、組織においては「何をしたいかではなく、なすべきことは何か」を問わなければならないといいます。
まったくの逆です。どういうことなのでしょうか?
組織は社会から役割を与えられています。
それぞれの組織は、社会からそれぞれの成果の形を求められています。
したがってそこに属する人の問いの形は、「なすべきことは何か」となります。つまり貢献の形です。
そのうえで進路選択の際に意識した「自分の何を使って」と問うことです。
つまり自分の強みを使って仕事をすることを意識するということです。

「なすべきことは何か」を知り、強み生かせば必ず成果に結びつきます。成果は自信を生みます。
この成果と自信が成長のスパイラルです。そのすべてのスタートが意思決定することです。
一人ひとりに意思決定を迫っているのが現代の組織社会の特徴です。
意思決定には責任がつきものです。
進んで責任を負う覚悟が意思決定を促進させます。
そのことがまたニート問題を解決へと導くのではないでしょうか。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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