多元社会の理論【経営のヒント 191】
数回にわたってお伝えしてきた『断絶の時代』第9章「多元社会の理論」は、本号で終えたいと思います。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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組織とそのマネジメントの力の基盤となりうるものは
一つしかない。成果である。
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エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より
産業社会とドラッカー博士が呼んだ現代社会が社会として機能するのか。
これがドラッカー博士の問題意識の原点です。
社会が機能することが、そこにいる人たちの幸福の基盤だと考えています。
世の中が社会として成立する条件をドラッカー博士は、三つあげています。
第一に一人ひとりが社会の中で位置づけをもっていることです。
具体的には、絆を持ったコミュニティーに属していることです。
第二に組織のなかで役割をもっていることです。
そして第三に関わることが今日の<一言>です。
それをドラッカー博士は、「組織の正当性」という言葉で表現します。
聞いたこともない言葉だと思います。
もともと政治学者であったドラッカー博士は、「権力の正当性」を意識します。
「力の基盤」という言葉が権力に通じています。
平たく言うと、なにゆえ組織は、そんなに偉そうな顔をしているのか・・・
そんなところでしょうか。
または、誰がそんな権限を与えているのか、ともいえると思います。
答えは「成果」です。
成果は、組織の目的を追求する過程で外部からもたらされます。
組織が存続を許されるのは、成果をあげ続けるからです。そしてこう続けています。
「いずれの組織も自らの目的を明確に規定するほど強くなる。自らの成果を評価する尺度と測定の方法を具体化できるほどより大きな成果をあげる」と。
目的の鮮明化と成果の測定が大切だということです。
目的と成果は、切っても切れない関係にあります。目的は、目指すもの。
ミッションや理念や役割や存在意義などと呼ばれるものです。
そうして成果は、より具体的にお客様に提供するものです。
モノやサービスなのですが、その実態はお客様の満足などに代表されるお客様目線の価値観です。
繰り返し出てくる二つのキーワードこそが組織の基盤となっているのです。
原点確認を一日も忘れてはいけないのだとあらためて確認することができました。
佐藤 等