取締役会【経営のヒント 349】
今日は『マネジメント』<下巻>第52章「取締役会」からです。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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取締役会の衰退はあらゆる国で見られる。
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『マネジメント<下>』p.35 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授はこんな事例をあげています。
「企業の統治機関である取締役会が、企業の倒産に際して、常に問題の発生を最後に知らされる集団であるという事実が端的に示している」。
この例は、巨大上場企業の例です。
トップマネジメント・チームを任命する存在としての取締役会が形骸化している現実の描写です。
上場企業ならずとも取締役会が機能していない状況はよく目にします。
その原因として、一つに定例的な会議体であり、機動力にかける側面が強いこと。
一つに社外取締役など執行に携わらないメンバーを擁することなどがあげられます。
トップマネジメントがワンマン体制で行われている場合も事情はあまり変わりません。
取締役会は形式的なものになっています。
中小企業からあらゆる企業で散見されます。
ドラッカー教授は、3つの理由から機能する取締役会を取り戻す必要があると指摘しています。
1)トップマネジメントに対して助言し、忠告し、相談相手になる能力と意欲をもつ真摯な人たちの集団として取締役会が必要です。
2)トップマネジメントを交替させる役割を担うことができるのは唯一の存在として取締役会が必要です。
3)社会や地域の声を吸い上げるために取締役会は必要です。
これらは、トップマネジメント・チームと取締役会が相互に牽制し合い、いい緊張感のなか成果を目指すことの重要性を述べたものです。
これらの機能を実現するために、メンバー選定は重要であるといいます。
メンバーは第一に相応しい能力、第二に時間、第三に独立性を有していることが条件です。
企業規模にもよりますが、取締役会を衰退させない努力は必要です。
そのために自社に欠けたものを見つけるところから手始めとしてはいかがでしょうか。
佐藤 等