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自らをマネジメントする【経営のヒント 175】

『明日を支配するもの』の第6章「自らをマネジメントする」は、7回目となります。もうそろそろ終わります。
今日の一言からです。

<ドラッカーの一言>
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上司を観察し、仕事の仕方を理解し、上司が成果を
上げられるようにすることは、部下たるものの責務である。
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『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)より

現代社会は、ほとんどの人が組織の成果をだすために一部の仕事を担当しています。一人で仕事を完結させ、成果をあげることができるのは、芸術家や科学者など限られた人だけです。
そうであるからこそ組織において成果を出す特有の能力も必要となるのです。そのための第一ステップは、自分のことをよく知ることです。ドラッカー博士は、知るべき「自分のこと」として強み、仕事の仕方、価値観をあげています。
これまで繰り返し述べてきたとおりです。

第二ステップは、共に働く人の強み、仕事の仕方、価値観を理解することです。ドラッカー博士は、「当然のことに思われる。しかし、このことを肝に銘じているものはほとんどいない」と強烈です。
皆さん、よろしいでしょうか、肝に銘じるレベルなのです。
この際に重要なポイントは、コミュニケーションです。
自ら伝え、そして相手のことを聞くことです。
シンプルですが、実はほとんど行われていないのではないでしょうか。

第三ステップは、相手をよく理解した後、活用することです。
「上司を活用する」ことで自分の成果をあげることを考えるのです。
同僚、部下についても同じです。ここで重要なのは、上司の仕事の仕方や強みに部下があわせることです。「読むこと」に長けた上司であれば、口頭ではなく、文書で報告を行うことです。たとえ自分が「話すこと」が得意であっても。
上司の強みを生かすために苦手であっても、ある程度の水準にまで自分を高めることは、部下の責務です。

こうして組織に信頼が生まれる土壌が出来上がります。
信頼は、好き嫌いではなく、相互理解の上に成り立つものです。
行動する。期待に応える。信頼を一つ積み上げる。また行動する。
期待に応える。さらに信頼を積み上げる。そんな繰り返しの中で信頼は醸成されて行きます。時間をかけて積み上げたものは、崩れにくく、短時間で積み上げたものは脆い。世の習いですが、信頼についても同じことがいえるのではないでしょうか。
優れた組織を望むのであれば、日々の組織内のコミュニケーションを基盤とした信頼づくりが欠かせません。
じっくりと積み上げる覚悟が必要です。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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