ホーム経営のヒントトップマネジメントの構造【経営のヒント 348】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

トップマネジメントの構造【経営のヒント 348】

今日も引続き『マネジメント』<下巻>第51章「トップマネジメントの構造」からです。
今日の一言です。
ツꀀ
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!

トップマネジメントがチームとして機能するには、

いくつかの厳しい条件を満たさなければならない。

!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント<下>』p.26 1973年 ダイヤモンド社

前回、トップマネジメントの仕事は、チームで行うことが原則であることを示しました。
しかしチームとして有効に機能するには条件があるというのです。
ドラッカー教授が指摘した6つの条件です。

1)トップマネジメント・チームのメンバーは、それぞれの担当分野において最終的な決定権をもつ。

2)トップマネジメント・チームのメンバーは、自らの担当以外の分野について意思決定を行うことはできない。

3)トップマネジメント・チームのメンバーは、仲良くする必要はない。尊敬しあう必要もない。ただし攻撃しあってはならない。

4)トップマネジメントは委員会ではない。チームである。チームにはキャプテンがいる。

5)トップマネジメント・チームのメンバーは(中略)ある種の意思決定はチームに留保する必要がある。

6)トップマネジメントの仕事は、トップマネジメント・チームのコミュニケーションに精力的に取り組むことを要求する。

3)が面白いですね。こう続いています。
「会議室の外でお互いのことをとやかくいったり、批判したり、けなしたりしてはならない。ほめ合うことさえしないほうがよい」。
要は、個人的な関係性は、害はあっても益はないということなのでしょう。誰が言ったかを重視するような事態を避け、何が重要かに注意を向けるための用意周到な指摘です。そのうえで最低限、チームワークを台無しにするような行為行動だけは慎めということです。

4)もありがちな状態に陥らないための至言です。
「キャプテンはボスではなく、リーダーである」と続けました。
ボスをキャプテンに選びがちですが、責任と権限、意欲と能力を兼ね備えるリーダーに任せなければなりません。

5)に属する留保すべき意思決定に「われわれの事業は何か。何であるべきか」の定義があります。
そのほか既存製品のライン廃止、新たなラインの構築、巨額の資本支出を伴うものなどがあります。
分担ではなく、衆知を集めるという仕事です。

自ら厳しい条件と言明しただけあってレベルの高いものです。
しかし基本的なことを指摘しています。チーム作りの参考にしましょう。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事