明日を変えるのは誰か【経営のヒント 164】
今回も第3章『明日を変えるのは誰か』からです。
今日は、変化に伴うリスクを軽減させる手順と予算の鉄則をお伝えします。
今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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新しいもの、改善したものは、すべて小規模にテストする必要がある。
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『明日を支配するもの』1999年
商品や顧客など何かを変えようとして市場調査やその分析、あるいは顧客分析を行っている例は、多く見られます。市場分析などの有効性は、否定するものではありませんが、これらの道具が無力化する場合があります。
それは、新しいもの、改善したものを市場に投入する場合です。なぜなら新しいわけですから分析する対象がそもそも存在しないのです。
分析という道具は、従来から存在したものに対してのみ経験的に対応可能な方法なのです。
そこで<今日の一言>です。
新しいものは、テストする。しかも小規模に行ってリスクを軽減させます。
問題点、障害、新たな機会を本格的に事業を行う前に確認することでリスクを可能なかぎりコントロールします。
ここで重要な点は、顧客に聞くことです。
新規のものはこれまでの常識やルールを無視していることがあります。
常識にとらわれないで顧客から学び、知覚することが大切です。
このようなパイロットテストの後に事業を本格的に開始します。
これが新しいことを行う際の手順の鉄則です。
もう一つは、予算の鉄則です。存続する企業には、共通点があります。
それは変化に対応する能力に優れていることです。日本は世界に誇るべき企業長寿国です。創業数百年という歴史を持つ企業が多数あります。
老舗企業と聞けば、長年伝統を守りつづけてきた旧態依然としたイメージを持ちがちですが、考えてみてください。長い年月の間には、とんでもない変化に襲われています。それを切り抜けてきたということは、タイミングよく変化を繰り返してきているということです。
そのために必要なこととしてドラッカー博士は、二つの予算の必要性を強調します。
一つは現在の事業のための予算。そしてもう一つが未来のための予算。
前者が80-90%、後者が20-10%の規模だといいます。
つまり新しい事業のために全体予算の10-20%を振り向けなければならないということです。
しかもかなりの期間、一定レベルを維持してはじめて成果を手にできるといいます。
私たちは、未来を生み出し、変化の先頭にたつための鉄則を手に入れました。
あとは継続して実践することで、少しずつ成果をあげるだけです。
佐藤 等