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明日を支配するもの【経営のヒント 158】

『明日を支配するもの』の第一章について、もう少し書かせていただきます。
今回は、ドラッカー博士が<変化した前提>として指摘した<事業経営上の前提>に属するもののうち「(4)技術と市場のニーズはセットである」から取り上げています。この前提は、20世紀半ばまで生きていましたが、今は技術と市場は分離しています。例えば、携帯電話は通信事業者と携帯電話メーカーとコンテンツメーカーに別れ、一体となって一つの市場でサービスを供給しています。これまでは、固定電話のように一つの完結した技術を一企業が一つの市場でビジネスを行っていましたが、これからはそうはいきません。前提が変わったのです。いまや技術は、あらゆる産業のものです。
IT技術を見ればご理解いただけるでしょう。このことは、顧客の広がりを意味します。例えば、農業にどのようにIT技術を活用するかを検討している時代です。
今日の一言は、この点に関して述べられたものです。

<ドラッカーの一言>
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変化はつねに非顧客の世界で始まる。
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『明日を支配するもの』1999年

一つの技術が多くの産業に関係してくると顧客あらざる層、非顧客(ノンカスタマー)が増大します。非顧客の情報は、膨大でこれを潤沢にもっている企業は稀です。
ドラッカー博士は、「非顧客なるものの存在さえ知らない者がほとんどである」とさえ言います。さらに「自分たちにとって非顧客が、なぜ非顧客のままでいるのかを知る者は、さらに少ない」と言います。そして今日の一言に続きます。
非顧客が考えていることをキャッチできない。存在すら知らない。なぜ私たちの顧客ではないのかと考えない。・・ない、ないと続きましたが、これが現実です。
非顧客が価値あるものと考えることを把握しなければ、多くの機会を失う時代です。
決して販売者が提供しようとしている<もの>を買っているのではないということを前提としなければなりません。今や<技術に関する前提>が変化したことにより、視点や立位置を変えて対応していかなければならない時代なのです。
ポイントは、非顧客に聞けです。そうしなければ、敵は予想もしなかった方角からやって来て、あっという間に占領されてしまいます。
怖い時代ですね。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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