生産の原理【経営のヒント 74】
第9章「生産の原理」は、『現代の経営』の中で唯一、発刊からの50年の歴史を感じる章です。
「オートメ化」という言葉が端的にその事実をあらわしています。
それでも輝きを失わないのがドラッカーの言葉の凄さです。
さて今日の一言。
<ドラッカーの一言>
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生産は、原材料を機械にかけることではない。それは、
論理を仕事に適用することである。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
ものをつくる、サービスを提供するというのは、企業にとっては制約の塊みたいなものです。労働力の確保、原料の確保、品質水準の維持、納期厳守などなど。
しかし一方でこれらをどのように解決するかが企業の成功の機会となります。
だからこそ、ドラッカーもいうように「マネジメントは、それらの物理的な制約を機会に転換すべく、事業をマネジメントする必要がある」のです。
この章では、生産システムを(1)個別生産、(2)大量生産、(3)プロセス生産の3つに分けています。それぞれに基本原理と経営者が行うべきことの違いをあげています。(1)個別生産の生産原理はいくつかの同質的な生産段階に組織することで、建設業に代表されます。経営者が行うことは、注文をとること。(2)大量生産の生産原理は製品の均一性を確保することで、自動車などの組立型製造業に代表されます。経営者が行うことは、流通チャネルをつくることと顧客のニーズを製品に適合させてくれるように顧客を教育することです。(3)石油精製業に代表されるプロセス生産は、製品の種類と生産比率の決定が重要です。経営者の役割は、新市場の創造です。このように各生産方式では、基本的な考え方と経営者の役割がそれぞれ違うことを意識して経営を行うことが大切であることがわかります。
企業の大小、業種の違い、歴史に関わらずこのような観点があることを少し意識して日々の経営を行いたいものです。
佐藤 等