シアーズ物語【経営のヒント 69】
第4章は「シアーズ物語」。なんだかドラッカーには不釣合いな・・・。
この他にも第10章の「フォード物語」があります。
さてシアーズとくればアメリカ小売の老舗中の老舗ですね。
先月も「米小売り大手シアーズ・ローバックと米ディスカウント小売り大手Kマートが共同声明を発表、合併で合意」など活発に動いています。
なんでも合併後の売上規模は売上110億ドルで、米第3位の小売企業が誕生するそうです。
50年前に書かれたこの本に「今世紀初め、シアーズは、アメリカの農民が孤立した独自の市場を形成しているとの認識から事業を成立させた」とあります。もちろん今世紀とは、20世紀、ずいぶん古い話です。
20世紀初頭からの約50年の間に2つのイノベーションをやってのけた「物語」が語られています。
2つのイノベーションは、「カタログ販売」と「駐車場付店舗」です。
<ドラッカーの一言>
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シアーズは再び、自らの事業は何か、市場はどこにあるのか、
どのようなイノベーションが必要かについて、徹底的に深く
考える必要に迫られている。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
当初は「農民の友」を自認して、地方の農民に安く、価値あるものを、継続して届ける仕組み「発送工場」を作り、その20数年後に自動車を持った農民のために都市に駐車場付き店舗を建てました。
今日の<ドラッカーの一言>は、そんなシアーズに新たな難題が降りかかっていると、50年前(1954年)にドラッカーが警鐘を鳴らしたものです。
つまり自動車が面倒の種になりつつあるという問題です。
運転が面倒、駐車困難などなど・・・。
その後50年を経た上記の報道が先月のものです。
シアーズは、この他にも全米国民に対する絶対的な知名度と各都市に存在する実店舗を基盤にECサイトでも大健闘しています。
シアーズブランド名のサイトは、消費者に対して圧倒的な安心感があり、ネットで購入したものを実店舗の売り場で返品できるのは他のECサイトでは真似の出来ないシアーズならではの「仕組み」です。
その後も「仕組み」を変えることで50年前のドラッカーの警鐘に十分に応えていたようですね。
キーワードは、もちろん「イノベーション」です。
佐藤 等