価値の創造【経営のヒント 62】
名残惜しむように、『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』の第19章「価値の創造」から3回目をおくります。この章で述べられている4つの戦略の3つ目、顧客戦略からです。先ずは、今日の一言から。
<ドラッカーの一言>
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顧客は合理的に行動する。単に、顧客の事情が
メーカーのそれと異なるだけである。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
「顧客の事情」を徹底的に検討することからイノベーションが生まれることがあります。ドラッカーの取り上げた例は、GEとマコーミック社.GEは発電用蒸気タービンを電力会社に納めていましたが発電所建設の5年から10年前からコンサルティングを行なわない限り、受注が取れない。しかも州公益事業委員会の監視の下、コンサルティングフィーはもらえないし、本体の価格にも入れられない。こんなジレンマに陥っていました。考えたのは、お客である電力会社の「事情」、交換用のブレードに利益を上乗せして皆ハッピー。もう一つは、農機具販売に分割を導入したマコーミック社。1840年代の古い話です。当時、農機具に銀行が融資などしない時代に年数回しか集金タイミングがない農家に分割支払というイノベーションを持ち込んで大当たり。これもやはり「顧客の事情」。払いたいのに払えない。どうすれば払ってもらえるかを徹底して考えた結果です。旅行会社の旅行積立、スポーツクラブの月会費など支払とサービスのタイミングが違うものなど世の中には結構ありそうです。
佐藤 等