既存企業における起業家精神【経営のヒント 50】
前回に引き続き、第13章「既存企業における起業家精神」です。前号で起業家精神を発揮するための4つの条件をあげました。その中に「(4)いくつかの行ってはいけないことを知る」というのがありました。ご記憶でしょうか?その節のタイトルは、「7.起業家精神にとってのタブー」となっています。今日の一言は、その中から1つ。
<ドラッカーの一言>
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いかなる組織であろうとも、得意な分野以外でイノベーション
を行おうとしても成功することはめったにない。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
これは、「多角化はイノベーションや起業家精神とは相容れない」という言葉と一対になっています。章のタイトルを思い起こして欲しいと思います。「既存企業における」とあるとおり、この章は既存企業にかかわるものです。ですから多角化が登場します。多角化は、<新規商品で新規市場>で勝負するもの成功の可能性は低い・・。この他何か新しいことをやろうとする時には、<既存商品で新規市場>もしくは<新規商品で既存市場>で勝負するかというパターンになります。これらの方が成功の可能性が高く、この場合既存商品もしくは既存市場どちらに得意分野(強み)があるのかを考えることが重要になってきます。失敗で屍累々の中には、得てして多角化したのもが多く含まれているものです。ちなみに(1)既存の事業部門に任せてはならない、(2)起業家精神の浸透していない組織では行なってはならない、(3)買収でイノベーションを手に入れてはいけない、が残りのタブーです。
佐藤 等