HINT
◆◆◆ ◆ ◆ ◆◆◆
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
◆ ◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆◆ ◆◆◆
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
◆◆◆ ◆ ◆ ◆ 第527号
ドラッカー教授は、『断絶の時代』(1969)で
「本書は、定量的ならざるもの、質的なもの、構造的なもの、
そして認識、意味、価値meaning and values、機会、優先順位を
見ていく」と述べました。
「意味」については第526回で取り上げました。
今回は「価値」についてみて見たいと思います。
ここで価値は、価値あるものという意味ではなく価値観に近い
意味です。
われわれの価値観は変化しているということです。
たとえば携帯電話が普及した21世紀では、私たちは
待ち合わせ場所をアバウトにしか指定しなくなりました。
「19時にススキノで」で終わりです。
それまでは「地下鉄ススキノ駅の改札の前で19時」というのが
普通でした。われわれの行動が変化したのです。
これは技術革新によって場所についての価値観が変化したことを
表わしています。
アバウトな情報でも目的地にたどり着けるという価値観です。
GPSと電子マップの普及がこれを後押ししました。
ヒトの価値観は日々変化しているのです。
◆◆◆ ◆ ◆ ◆◆◆
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
◆ ◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆◆ ◆◆◆
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
◆◆◆ ◆ ◆ ◆ 第522号
1993年『ポスト主義社会』を著したドラッカー教授は
現在の世界の混乱を予見していました。
それは一つの解釈から始まっています。
「信仰としてのマルクス主義が崩壊したことは、
社会による救済という信仰の終わりを意味した」
「意味」はドラッカー教授が多用する人々の価値の転換を表す
表現です。
さらに言います。
「これにとって代わるものが何かは不明である。
われわれはただ期待し、祈ることができるだけである」
当時のドラッカー教授の目に映ったものは、
アメリカのメガチャーチとイスラム教の原理主義の
再興でした。
「原理主義を熱狂的に信奉する現代のイスラム世界の
若者たちも、40年前ならば同じように熱狂的な
マルクス主義者となっていたかもしれない。
あるいは、さらに新しい宗教が現れるのであろうか」。
イスラム原理主義の台頭と新興宗教の興隆の同根ということ
でしょうか。
いずれにしても人々は心を寄せるものを失いつつあります。