≪新しい数百年のはじまり≫
新年号が遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。私は、新年早々インフルエンザにやられてしまいました。急に増加傾向となっています、皆さんもお氣をつけください。私たちの事務所では、昨年インフルエンザ対応マニュアルを作成し、本人の対応、事務所の対応をまとめました。供えあれば憂いなしですね。
さて21世紀も早いもので10年を経過しました。ドラッカー教授は1969年に『断絶の時代』を著し、大きな時代の変わり目にあることを示しました。その前の時代を「継続の時代」といいます。ドラッカー教授によれば、この時代は約350年続き、ここ十数年のうち(2020年頃まで)に終焉を迎えるそうです。
約350年続いているこの時代は一人の人物からスタートしました。その名をルネ・デカルトといいます。「我思うゆえに我あり」という言葉の方が有名かもしれません。フランスに1596年に生まれた哲学者であり、数学者です。
そして、なんとこの一人の影響が今に至るまで続いているというのです。デカルトにより、科学が生まれ、人類は進歩というものを手にしました。この時代を「近代」といいます。科学万能の世界観です。
そのデカルト以前の時代は、宗教万能の時代でした。13世紀から数百年続いた世界観です。その時代の終わりにあってデカルトが過ごした時代は、まさに科学の萌芽期。「それでも地球は動いている」といったと伝えられている地動説を信じるガリレオが生きた時代です。
宗教vs科学という構図から、人々のおもいが鬱積した時代。そんな様子が今年翻訳され出版された『デカルトの骨』という本に詳細に述べられています。時代の変わり目の重苦しさとその後に起こった進歩の歴史を見事に描写しています。
今私たちが生きている時代はこの本の再現そのものだと感じました。今は何百年に一度の変わり目、私たちはまさに『新しい何百年に生まれ変る瞬間』立ち会っているのです。進歩が当たり前という時代はこれまでの350年で終わりを告げようとしています。懐かしむ氣持ちはありますが、進歩は必然ではなくなります。
私たちは過去に答えを求めるのではなく、俯瞰(全体を見渡すこと)視座を高め、新しい時代の姿勢と行動を手に入れなければなりません。新年にあたり、壮大稀有なお話をさせて頂きました。たまには歴史の中の小さな存在として自分を見るのも悪くはありません。
ナレッジアドバイザー 佐藤 等