グローバル化のマネジメント【経営のヒント372】
今日も第59章「グローバル化のマネジメント」からです。
では、今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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一つのことが明らかである。明日のグローバル企業は、
今日のそれとは異なるものになるということである。
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『マネジメント<下>』p.230 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は、次のように続けました。
「手にしているものは、いまだに19世紀型の多国籍企業であって、われわれはそれらのものを使って
20世紀の仕事をさせている。ということは、今日われわれは一つの転換期にあるということである」。
本書発刊の1973年当時、つまり40年前私たちが使っていた道具は、19世紀の借り物でした。
少数の資源提供国が少数の先進工業生産国に資源を提供し、主としていくつかの国に進出した
多国籍企業が本国から輸入してその国で販売を行う。
国別に明確に役割があった時代は、借り物でも間に合いました。
現在は、資源提供国は希少性を背景に経済的に発展し、金融をはじめとしたサービス業が台頭
し、工業は先進国のものではなく新興国のものにシフトしつつあります。
生産拠点も市場に近いところに配置されるなど複雑な役割分担になっています。
EUに見られるように政治を超えて経済で地域が結びつく時代。
TTP問題に見る関税の自由化が加速する時代。
国境線という物理的境界線の意味が薄れていく時代。
生産と販売を巡る問題は、経済的にも政治的にも加速度的に複雑さを増しています。
ドラッカー教授の予見どおり、グローバル企業は質的に異なるものとしてわれわれの目の前に
あります。
ドラッカー教授は、さらに次のように続けました。
「グローバル企業と政治環境との関係については、うまくいくことよりも、うまくいかなくなるであろ
うことについて述べるほうが易しい」。
国境を巡る主張がビジネスに多大な影響を与えている日本の現状をみればこの言葉の真意が
よくわかります。
そんな中でもドラッカリアンである柳井正氏率いるファーストリテイリング社は、世界同一賃金と
いう方針を打ち出しました。
優秀な人材を集めることを目的にした相当踏み込んだ対応策です。
グローバル企業の動きから目が離せません。
佐藤 等