傍観者の時代【経営のヒント 395】
新しくお伝えしている『傍観者の時代』。
今日は、前回の続きともいうべきテーマです。
<ドラッカーの一言>
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屋根の上から叫んで人を驚かせることは
感心したことじゃないんだよ。
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『傍観者の時代』p.5 1979年 ダイヤモンド社
少年ドラッカー、8歳の経験です。
当日は、第一次世界大戦中のクリスマス・パーティーで、友人ビビの父から言われた言葉です。
その日ドラッカー少年は、深刻な食糧難の中、闇で牛肉を仕入れ、
顧客に提供したホテルオーナーが逮捕、起訴された件について、
自身でも驚くことにそのオーナーを賞賛するスピーチをしました。
スピーチの後、会場は静まり返ったとあります。
その時、友人ビビの父がやってきてドラッカー少年を脇に連れていきます。
「面白い見方だね。しかも初めて聞く見方だ。ピーター、君が間違いと言っているんではないよ。
君のいうとおりかもしれない。しかし変わった意見であることは間違いない。」
ドラッカー教授はその時のことを回想して「これは傍観者がよくいわれることである。
人と違う見方をすることが宿命だからである」と述べました。
皆さんにも、今振り返ると昔からそうだったなぁという個人的な行動や姿勢はありませんか。
ドラッカー教授も自分の特徴を回想の中に見つけました。
ドラッカー教授が一般の人と異なるのは、次の忠告に従わなかったことです。
「だとすると、ちょっと気をつけたほうがよいかもしれない。
自分の目で見、自分の頭で考えることはよいことだ。
でも屋根の上から叫んで人を驚かせることは感心したことじゃないんだ」。
ドラッカー教授は多くの傍観者はこの忠告に従って口をつぐむと述べました。
しかし「私自身はあまり気にしたことがない」として、屋根の上から生涯叫び続けていたことを明らかにしました。
その度に私たちは驚かされたのです。
ある時は「ソ連が崩壊する」と叫んだドラッカー教授を時の米国の国務長官キッシンジャー氏は、
「ドラッカーさん、とうとう気が狂った」と評しました。
子供のころの美質は何かのきっかけでやめてしまう可能性があります。
それは何の気なしに忠告した友人の父の一言かもしれません。
ドラッカー教授の優れている点は、強みを生涯伸ばし続けたことです。
誰が何を言おうと気にしないで続けたことです。
子供のころ発揮していた美質で、抑えられて発現していないものはありませんか。
一度点検してみることをおすすめします。
佐藤 等