「プロの経営者、アルフレッド・スローン」【経営のヒント 415】
今日も『傍観者の時代』の第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」からです。
<ドラッカーの一言>
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これほど驚いた申し出も、
これほどありがたい申し出もなかった。
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『傍観者の時代』p.301 1979年 ダイヤモンド社
前回書いたように渡米後のドラッカー教授の仕事は順風満帆でした。
ところが一つだけ思うに任せないことがありました。
1942年、ドラッカー教授は第二作目『産業人の未来』を発表し、
企業が産業社会の主役になったことを世に問いました。
そして戦後、産業社会が成立する条件(仮説)として企業を支える権力が正統であること、
そこで働く人たちに位置と役割が与えられることを示しました。
ドラッカー教授は、この仮説を検証しなければならないと考えていました。
そのためには大企業を内部から調べる必要がありました。
様々な企業へアプローチするも断られ、意気消沈する毎日でした。
そこへ一本の電話が。
「ポール・ギャレットと申します。GMで広報を担当しています」。
声の主は続けます。
「当社の副社長ドナルドソン・ブラウンの代理としてお電話しました。もしや当社の
マネジメントと組織について調査されるお気持ちはないかと存じまして」。
ドラッカー教授は「これほど驚いた申し出も、これほどありがたい申し出もなかった」と
振り返りました。
すばらしい機会を手にしたのです。
この話を聞くたびに、筆者は次のドラッカー教授の言葉が思い浮かびます。
「ゼロ成長を当然のこととしてはならない。ゼロ成長企業の経営にあたっては、
『われわれの強みは何か。その強みは、人口、市場、流通、技術の変化によって
生じる機会のどこに適用できるか』を問わなければならない。
人的資源の能力を維持し、その生産性を向上させ続ける会社は、
必ず大きな成長の機会に出合う」『実践する経営者』。
前回号に書いたように、強みやワークスタイルを自覚し、
それらを磨いていたドラッカー青年は機会に出合ったのです。
機会が何かを生み出すのではありません。
実質はあくまでも強みです。
機会はきっかけに過ぎません。
強みがなければきっかけも生きません。
最後にこの問いを記して終わります。
あなたが磨いている強みは何ですか?
どんな機会に出合えればそれは生かせますか?
佐藤 等