「お人好しの時代のアメリカ」【経営のヒント 442】
今回も『傍観者の時代』、最終章の第15章は「お人好しの時代のアメリカ」からです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
そこで彼は、はっか入りのバーボンをすすりながら、
平和と自由を脅かす者とは断固戦うという、
パックス・アメリカーナの構想を語り尽くしたのだった。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『傍観者の時代』p.369 1979年 ダイヤモンド社
彼とは…雑誌『クーリエ』の編集長、ハーバート・エイガー。
1933年『国民の選択』でピューリッツァー賞に輝いたほどの人物です。
そのエイガーからドラッカー教授は『「経済人」の終わり』刊行直後に、
彼の家に1週間招かれました。
ケンタッキーの夕暮れ時にトウモロコシ畑を前に家のポーチで
バーボンをすすりながら聞いたこと、それがパック・アメリカーナ構想でした。
世界の平和はアメリカーナの覇権がもたらすという現在も続いている考え方です。
アメリカーナの孤立主義からの大転換を意味します。
その構想をバーボンをすする本人の口から伝えられたのです。
1950年代のアイゼンハワー大統領の下、国務長官に就いたジョン・フォレスター・ダレスの
安全保障条約、ジョン・F・ケネディの対ベトナム政策がエイガーの構想に由来していました。
ドラッカー教授はアメリカの大転換についての構想を10数年も前に、一人聞くことになるのです。
アメリカの激動期にあって教授はそのような立場に身を置いていたのです。
佐藤 等