イノベーションについて【経営のヒント 478】
前回は「変化」、前々回は「機会」について説明しました。今日はイノベーションについてです。
前回も記しましたが、これらの関係は<変化→機会→イノベーション>という流れで整理することができます。
<ドラッカーの一言>
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生産性の向上は、イノベーション、すなわち古くなった斜陽の領域から、
新しい生産的な領域への資源の移動によって実現される。
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『実践するドラッカー 〔事業編〕』p.112
原典―『乱気流時代の経営』p.14
今日の一言はイノベーションの成立の条件の一つでもあります。
イノベーションが上手くいくためには第一に「機会」があること。
これは前回、前々回と述べてきたことです。
第二に「強み」を基盤としていることです。
「機会」があっても上手くいかないことが多いのは「強み」の欠如が一つの原因です。
たとえば異業種から介護事業に参入したがソフト部分のノウハウの欠如により失敗したなどの事例は枚挙にいとまがありません。
今日の一言は第三の条件「資源」についてです。意外な落とし穴です。
「機会」と「強み」がそろっていても失敗する原因の一つです。燃料がなければ走られないということです。
たとえば既存の主力事業を率いている部長に兼務で新規事業を担当させるなども、この条件を欠く典型例です。
人材という資源の「移動」が必要です。この場合既存の主力事業業離れて新規事業の専担者になる必要があります。
資源といえば<人、モノ、カネ>と連呼されますが、これら資源の移動を見直すことなくイノベーションが成功することはありません。
ドラッカー教授が「まず廃棄せよ」という理由でもあります。この点は次回触れたいと思います。
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<実践のための問い>
古くなった事業、製品、サービス、活動を挙げて下さい。
佐藤 等