変化→機会→イノベーション【経営のヒント 482】
ここ数回<変化→機会→イノベーション>について説明してきました。
今日の一言は長文ですが大切です。
<ドラッカーの一言>
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チェンジ・リーダーたるための第四の条件がイノベーションである。
これこそ今日最も注目されている分野である。しかしこれは、
チェンジ・リーダーたるための条件としては、最も重要なもの
ではない。体系的廃棄、継続的改善、成功の追求の仕組みのほうが、
意味のある場合が多い。むしろそれらの仕組みなくしては、いかなる
組織もイノベーションを行うことはできない。
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『実践するドラッカー 〔事業編〕』p.114
原典―『明日を支配するもの』p.95
「イノベーションが最も重要なものではない」とドラッカー教授はいいます。
これまで散々説明してきましてきてなんだよと思う方も少し聞いて下さい。
「チェンジ・リーダーの条件」としては…とあります。「チェンジ・リーダー」とはドラッカー教授の造語です。
変革の担い手あるいは変化するために先頭に立つ者という意味です。
変革の方法についてドラッカー教授の優先順位をつけたことになります。
まず現状の上に立った「継続的改善」です。
さらに前回とも関係しますが「体系的廃棄」です。
事業や製品、活動などをやめることです。廃棄の本質は資源の解放です。
イノベーションの準備ともいうべき段階です。さらに「成功の追求の仕組み」を確立することです。
これは「イノベーションの機会」と関係しており、
7つの機会の筆頭にある「予期せぬ成功、予期せぬ失敗」を探索する仕組みについて述べています。
前回の関係でいうとイノベーションが上手くいく3つの条件の「機会」に関するものが「成功の追究の仕組み」であり、
「資源」に関するものが「体系的廃棄」です。
したがってイノベーションの前提条件を整えてからイノベーションのことを考えようと注意喚起していると読み取ることができます。
別の切り口、活動という視点でいうと「体系的廃棄」は「活動をやめる」こと、
「継続改善」は「活動を増やすこと」、「成功の追求の仕組み」は「活動を始めること」を意味しています。
組織も個人の活動は「増やす、減らす、始める、やめる」の4種類しかありません。
どの活動をどれだけ行うかを常に考えておかなければなりません。活動のデザイン変更です。
変更の効果は1年後から数年後に出ます。タイムラグがあります。
逆に今業績がいいのは過去の活動の結果です。
成功の落とし穴にはまるのはこのためです。良いときに何をやめ、何に集中するかを考えることが重要です。
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<実践のための問い>
どのような活動を増やし、減らし、始め、やめますか?
佐藤 等