経営管理者とその仕事【経営のヒント 92】
第5部「経営管理者であることの意味」は、第27章「経営管理者とその仕事」で始まります。
ドラッカーは、経営管理者の基本的な活動として以下の5つをあげています。
(1)目標の設定、(2)組織化、(3)動機づけとコミュニケーション、(4)評価測定、(5)部下の育成です。
企業の大小を問わず必要なことですが、中小企業では、経営者が兼ねることも多いと思います。さらに経営管理者の5つの基本的な活動を行うための能力として「分析力」、「総合・統合力」、「読む・書く・話す・数字で表す力」が資質として「正義の観念」と「真摯さ」が必要とされています。
今日の言葉は、「真摯さ」に関するものです。
<ドラッカーの一言>
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経営管理者であるということは、親であり教師であるということに近い。
(中略)人間としての真摯さこそ、決定的に重要である。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
なぜこの言葉が発せられるのか?それは、次の言葉に表れています。
「部下を正しい方向に育成し、成長させ、豊かな人にできるかどうかが、彼自身が伸びるか枯れるかを決める。豊かな人になるか貧しい人になるか、向上するか退化するかを左右する」。
とても重々しい言葉で少々息苦しくなりますね。
「親」や「教師」は、見返りを求めませんね。そんな姿勢が経営管理者に求められています。
経営管理者ばかりでなく経営者としても必要なもの、それは単なる能力の優秀さだけではなく、人に対する「真摯さ」をはじめとした資質です。指導力のベースに「この人の言うことなら聞こう」と思わせる人間力(資質)があります。能力は学ぶことで習得できますが、資質は身につけるものです。
修業と修行の違いがあります。「行」ですから行動と実践を伴いながら身につけなければならないものです。
ある人が言いました、体に栄養、頭に知識、心に徳。
資質は、たぶん「徳」に関係するものですね。じっくりと身につけたいものです。
佐藤 等