宣言【経営のヒント 87】
「最高の仕事のための人間組織」(第22章)は、ドラッカーの「宣言」の章です。
最高の成果をあげるための組織の作り方は、こうあるべきだ!という強い意志が感じられる章です。「最高の」という言葉にその思い入れの強さを感じます。そして、その内容も第一級の人間観察眼から生み出されています。ご自身、のちに「わたしは人間の本質により関心があった。だから研究したいと思ったし、書きたいと思った」と今の道に進んだ理由を回顧しているのですから本物度☆五つです。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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彼らの仕事ぶりや成果は、単に働きたいという意欲ではなく、
よりよい仕事をしたいという意欲に左右される。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
「最高の仕事」、めったに使わないけど、いい言葉ですね。
この章と次の第23章には「最高の仕事」の秘訣が書いてあります。ちなみに次章は「最高の仕事への動機づけ」です。
さてその秘訣は、大きく分けると三つです。
一つ目、最高の効率をあげるための仕事のエンジニアリング(分析と統合)です。
二つ目、一人ひとりの人間の能力と仕事ぶりが、個人とチームの双方の利益に結びつくようすること。
最後に一人ひとり能力を最大限に発揮する場づくりと配置を常に考えること、です。
「適材適所」と言う言葉があります。適材は、もちろん最適な人材配置のことです。一方の適所は、最適な仕事場所、つまりは最適な仕事のことです。「適材適所」というとき「適所」が前提となって「適材」に意識が行きがちですが、本当は、まず「適所」を考えることの重要性をドラッカーは気づかせてくれます。
よりよい仕事をしたいという意欲を引き出すチューンアップ済みの高性能の「仕事」を考えるという大切な視点(84号に大きなヒントがあります)、経営に是非取り入れたいものです。
佐藤 等