組織についての新しいニーズ【経営のヒント 329】
今日も『マネジメント』<中巻>、「組織についての新しいニーズ」
第41章からお伝えします。ドラッカー教授の著書を読んでいると、
時として「見つけた!」と叫びたくなる言葉を発見することがあります
(多分に個人的趣味に近いのですが…)。
<ドラッカーの一言>
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企業は生物ほどには複雑な存在ではない。しかし、
企業をはじめとする組織もまた、複数の軸をもっている。
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『マネジメント<中>』 p.209 1973年 ダイヤモンド社
引用が長くなりますので途中切りましたが、後に「権限、情報、課題、
知識の軸である」と続きます。「見つけた!」のは、この4つの軸の
ことです。すぐにはコメントできないくらいの大物です。
今日の一言の前には生物の軸が示されています。「骨格、筋肉、神経、
消化、呼吸、感覚、生殖」の7つです。これらの軸は自律的かつ相関
関係にあると指摘しました。独立して機能していながら何らかの関係が
あるということです。生物のこれらの軸の解明も100%ではありません。
企業における4つの軸の解明もこれからの部分も多々あります。
組織とは仕事の連鎖であり、仕事には責任が付き物です。責任は
負うべきものという意味がありますが“responsibility”は応答可能性が
あること、つまり期待をベースにしています。「あの人なら出来るだろう」
を前提に責任は成立しているということです。仕事と責任の連鎖は
組織ごとに異なります。
組織を構成しているのは結局人です。組織は器、中身は人ということ
です。人が複数になるとコミュニケーションが必要です。コミュニケー
ションはパイプライン。中を通るのが情報です。どのパイプラインを
通ってどの情報が流れているのか。流れるべきなのか。流通経路と
流通物の質量は組織ごとに異なります。
組織の課題(Task)は、内容が難しい言葉です。誰かの責任において
引き受けられた特定の仕事とでもいったらいいでしょうか。単なる
作業や仕事よりも一段意識が高められた仕事、解決すべき問題で、
もちろん大きな責任が伴います。本書『マネジメント』のサブタイトルは
“Tasks、Responsibilities、Practices”となっています。責任とともに
重要ワードです。課題は組織ごとにすべて異なることはご理解
いただけるでしょう。
組織の知識は強みの源泉です。際立った知識を組織の強みと
いいます。どんな知識をこれまで蓄積してきたのか。またこれから
蓄積していったらいいのか。それぞれの組織にそれぞれの知識軸が
あります。
一つひとつの軸そのものが大物です。数行では書ききれません。
ここでは、組織には異なる軸が存在し、自律的にかつ相互補完的に
作用して組織が動いているということを意識して下さい。
あなたの組織は、どの軸に優れ、どの軸が弱いですか。
佐藤 等